第七官界の中心で咆哮する

イチオシのカナダ発ポストアポカリプスBL小説『Fallocaust』をはじめ、英語のM/Mロマンス(BL)を中心に、BL小説などをレビュー。

ポストアポカリプスBL「Fallocaust」第9章の読み方

第4回の範囲です。

 

1〜2章は作者に許可いただいて翻訳したので、こちらからどうぞ。

『Fallocaust』はKindle Unlimitedでも、普通のKindleおよび紙の書籍でも読めます。そして「なか見!検索」で9章冒頭までお試し読みできる!

 

 

 

第9章の要約

残酷描写:微

性行為:なし

読了時間の目安:25分(13ページ)

 

**

*この章は視点(POV: Point of View)キャラクターがリーヴァーに戻ります。

 アラスに戻ってきたリーヴァーはキリアンが戻っていないことを知る。軍兵に襲われた痕跡を発見し、ハイウェイの先に野営の火を認める。グレイソンがリーヴァーに追いついて同行する。

 

 

導入

:アラスの壁外にあるレノの家からリーヴァーとレノの二人が北門へ戻ってくる場面。

 

 

ストーリーライン

・レノがギターを鳴らしてリーヴァーをからかっている

・アラスのゲートに来て、マットと話しキリアンが戻っていないことを知る

・リーヴァーはキリアンの家を見に行く

・リーヴァーとレノはキリアンを追ってキャラバンの轍をたどって走る

・キリアンが捕まった現場で服と血痕を見つけショックを受けるリーヴァー

・グレイソンが追いついてきて、レギオン兵を追跡するリーヴァーに同行する

・怒りと絶望の最中に自分が恋に落ちていたと気付くリーヴァー

・アラスには帰らない覚悟でレギオンを殲滅すると誓う

・リーヴァーは遠くにレギオン兵たちの野営の火を認め、血に飢えた野生の本能に身を任せる

 

語彙・文法

"I enjoyed my best friend's company, but in the right doses." (84p)

訳)この親友(=レノ)と一緒にいるのは好きだが、何事も適量というものがある。

  • company :一緒にいること・同席  c.f. I enjoyed your company. 

会社という意味の他に友達や仲間、一緒にいることといった意味があることに注意。

  • dose :(薬などの一回の)服用量

比喩的な意味で使われています。「適量なら一緒にいるのは楽しいけど…」ということですね。

 

 

"I wouldn't have to deal with the rest of the block knowing I got Killian killed." (93p)

 

訳)俺がみすみすキリアンを殺されたとブロック全部が知ることに対処する必要はないだろう。

 "I wouldn't have to deal with the rest of the block knowing

deal with ~ing : ~することに対処する

would < will 

"I got Killian killed."

get(have) + O + 過去分詞

ここでは「受け身・被害」の意味なので、「キリアンを殺された」となる。

リーヴァーが保護下に置いていたキリアン、という含みですね。

 

"I'm sorry it took this for you to realize it."

I'm sorry (that): (that 以下のことに対して)残念だ

謝罪の意味ではなく、「心が痛む・悲しい・残念だ」という意味。

it take ~ to…:(to以下する)のに〜がかかる(必要とする)

  

コメント

 ああ……リーヴァー……。

ついに自分の感情を自覚したリーヴァーの慟哭が胸に刺さります。リーヴァーがキリアンと目を合わせなかった理由もここで明かされます。ずっとリーヴァーの一人称だったのになぜその理由が書かれなかったのかというのも、リーヴァーが自分の感情やキリアンへの気持ちを自分自身で認識していなかったからなんですね。若者よ、これが自我の目覚めじゃ......(涙)

ここまでリーヴァーはキリアンが死んだと思っているわけですが、どうなるのかお楽しみに!!

 

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